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演奏の躍動感や繊細さを表現できるようなチューニングシステムを
手頃な費用でなんとか作ってみようという実験をしばらく続けてきましたが、
アンプの出力に依存せず、エネルギー変換の効率性を追及し、併せて音楽の
質感まで 豊かに表現できるものが、漸くかたちになって参りました。
「ピアノはこう聞こえる。ヴァイオリンはこうだ。」と言ったとき、
楽器の想定している音の全像の方にどうしても意識が行きますが、
実際に人間の耳は個人差こそあれ、奏者の息遣いや、タッチ、打鍵の音、
弦の擦れる音などを、非常に繊細に捉えています。
これらのさまざまな音を、統合して「音楽」として捉える以上、 こういった
細かなディテールが聞こえてこなければ、音楽の楽しみが半減するばかりでなく、
演奏家の表現しようとするものを、音楽でなく、 ただ楽器から発する物理的な
波動としてしか認識できなくなりがちです。
すなわち、音楽愛好家ではなく音愛好家となってしまいがちなのです。
人間のぬくもりのある表現を具体的に下支えする音の表現が、ある種の
限界はあるにせよ、オーディオシステムでできれば、音楽を聴くことは
どんなにも楽しい体験の連続となることでしょう。
つまり、ここでいう「音の質感」とは、音楽を楽しむ上で必要な音のディテール
のことです。
では、どうやったらこの音のディテールを表現することができるでしょうか。
シャッツシステムでの試みは、音同士の干渉を排除することでした。
多種多様な音同士の複合波として、われわれの聴覚器官は音を認識しますが,
複合波の要素となる個々の成分が認識されながら、俯瞰的に音の全像が
把握でき、おのおののスケールに見合う音場に身を置くことができたら、
どんなにか「音の視野」が広がることでしょう。
それは、感覚としては、今までのリスニングが、
「山には木や石があるにも関わらず、ただ山としか認識しないもの」
であったのが、「木も石も見える山」になったというような感じなのです。
このことの実現のために開発されたのがDR回路です。
このDR回路により音同士の干渉が抑えられ、録音物が本来持っている
情報量をすっきりと表現できる結果、全体としての情報のロスを
最小限に押さえることができるようになりました。
つまり、複合波を構成する原波形が互いに干渉しあって、音の原像とは
相当違ったものとして私たちの耳に届いていたものを、干渉を阻害する
ことによって音源の情報量をロスなく表現する基礎を、アンプリファイアーの
段階で提供しているのです。

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